明治30年の学校設立から現在まで、数多くの女性たちが自らのキャリアを描き、そのための努力を続けながら、未来に向かって巣立っていった和洋九段女子中学校高等学校。明治、大正、昭和、平成、そして令和と時代が移り変わっても、和洋生たちの人生を彩ってきたのは、いつも『先を見て齊える』のこころでした。
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津嶋母が女子校出身者で、ことあるごとに“女子校はおもしろいよ”って、私に言っていました。中学受験を意識し始めた頃、ご近所に現役の和洋生がいることを知り、凛としたその姿に憧れを抱いたことも決め手になりました。
中谷私の場合は特にこれというきっかけはなくて、気づいたら女子校に入っていたという感覚でした(笑)。ただ、母がよく“これからの時代は女性が自立していく社会になる”との話をしていたので、結果として行くべき場所に行くことができたのかもしれません。和洋九段で過ごした6年間で、一生かけて会えるくらいの様々なタイプの女性たちと、たっぷりと接したことは、ひょっとするとすごいことなのではないかと思ったりもしています。
富田九段下という場所が気に入ったことがきっかけでした。特に千鳥ヶ淵から日本武道館周辺にかけての景色が心地良く、家族も安心して通える学校ということで推してくれました。
福島一番は自宅からの通いやすさでしたが、学校説明会で、校長先生が『先を見て齊える』(校訓)のお話をしてくれたことが、なぜか子ども心に印象に残りました。かといって、当時はその意味を具体的に理解できたわけではありませんが、何となく前向きになることができるポジティブな言葉として、受け入れた自分がいました。
福島 中学はバスケットボール部でしたが、高校からは美術部に入りました。バスケの練習は大好きだったのですが、大学受験を意識し始め、塾と簿記の専門学校に通いだしたことで、練習時間を取ることが難しくなってしまったからです。
富田トリプルスクールというものですね。塾はわかりますが、なぜ簿記の専門学校だったのですか?
福島実は在学中から、「将来は社長になる!」って宣言していたからです。
一同えーっ!?
富田私の場合、中学の途中でテニス部を辞めてしまったので、高校からは何か別のものに取り組もうと考えていました。それで実際に取り組んだのが、イギリスへの2週間の留学と、タイの貧困地域でのボランティアと、日中交流キャンプでした。どれも自分で探し、手続きをして参加しました。
中谷通学時間が1時間くらいかかっていたので、入学してから1年間はどのクラブにも入りませんでした。しかし、それではさすがにつまらないと思い、中2から陸上部に入部しました。ちょっと散歩に行くみたいな感覚で、皇居の周りを走っていましたね。
津嶋水泳が好きだったので練習場を見に行くと、そこには温水プールがあり、しかも5コースもあって驚きました。当時の水泳部は強豪で、指導もかなりきつかったのですが(笑)、充実した練習環境がある中、同学年の仲間たちと励ましあい、頑張り抜いたことは良い思い出になっています。
津嶋高校の3年間、クラスの顔ぶれがまったく変わらず、担任は今の中込真校長先生でした。『先を見て齊える』と言いますか、時代の一歩、二歩どころじゃなく、十歩も、二十歩も先の将来についてお話しされる先生でした。なぜ勉強しなくてはいけないのかというところから始まり、大学受験は人生の通過点でしかないということもよくおっしゃっていましたね。多感な時期でしたから、時には「?」と感じて反抗したこともありましたが、人としての幅を広げるためにも今が大切なのだと、そんな風なアドバイスを頂戴し、結果的に勉強に身が入るようになりました。
中谷時折、生徒の心に降りてくるとでも言いますますか、あるいは、心に届くとでも言いますか、授業の中でぽろっと、大事なことを教えてくださる先生が何人もいらっしゃいました。そういう先生の教科は、自分でも意識して頑張ったりしていました。
富田中高時代って多分、人生で一番悩みが多く、人間関係とか面倒くさい時期でもあると思いますが(笑)、和洋九段の先生方には本当に親身になって相談に乗っていただきました。教科の勉強だけじゃなく、人生を教えてくださるといった感じでしょうか。本当に感謝しています。
福島一番印象に残っているのは、高3の時の担任の先生です。「将来は社長になる!」と宣言した時、何を言っているんだとは言わず、ちゃんと受け止めてくださったのです。そもそも社会を知らない女子高生が、「日本を変えるぞ」みたいなことを言ってるのですから、普通は「やめときなさい」ですよね(笑)。振り返るとそういう担任がいたこともラッキーで、おかげさまで夢をかなえることができました。
福島初めて聞いた時は理解できませんでしたが、今では、より良い人生を送るための土台になる言葉としてとらえています。なぜなら、目の前のことだけでなく、さらにその先の自分にゴーサインを出せるような、力強さが込められているからです。会社経営をしながら子育てができるのも、きっと『先を見て齊える』の精神が、さりげなく後押ししてくれているからと思っています。
富田在学中はそんなに意識していませんでしたが、社会人になって振り返ると、すごく良いメッセージなんだなって再認識することが良くあります。というのも、私はもともと記者になりたいと思っていたのですが、そのために今、何をやるべきかが明確になった場面が、これまでにたくさんあったからです。それと、職業に就いている女性には、結婚や出産のタイミングなど、男性に比べて“先のこと”を考える場面が多々あります。そんな時にも、『先を見て齊える』の言葉の意味を、深く噛みしめることができるのではないでしょうか。
中谷実は、『先を見て齊える』の校訓が制定されたのは平成8年で、私が卒業してからのことなのです。でも、母校の校風をよく表す言葉として理解しているつもりです。なぜなら、社会人になって、この言葉が本当に真っ先に来るような、仕事の進め方を意識するようになったからです。また、人生においても、どうやって輝きながら年を重ねていくことができるかと、そういうことを考える時の力強いメッセージであるとも思っています。さらにこれから先、自身のキャリアを積み重ねていくうえで、大事なポイントになるワードであることは確かでしょうね。
津嶋新卒入社して7年目に、もっとキャリアの幅を広げたいと思い転職しました。その際、なぜか不思議にも意識したのが『先を見て齊える』でした。ひょっとした自然と刷り込まれていたのかなって(笑)。『校長講話』でも必ず1回は出てくる言葉ですから、当然と言えば当然なのかもしれませんね。
津嶋具体的に進路のことを考え始めたのは、たしか高1から高2にかけての頃だったと思います。もともと生物系の勉強が好きで、当時話題になり始めた発酵の世界や、農産物の生産・加工・流通までを担うアグリビジネスに興味を持つようになっていました。7年前に転職した現在の職場も、実はそのようなキャリアデザインの延長線上にあります。
中谷私も高1から高2にかけて進路を考えだして、弁護士になろうと決めて猛勉強を始めました。それで法学部に進学したのですが、思い描いていたこととちょっと異なる部分があることを感じて、途中でキャリアチェンジをしました。もちろん、その選択は間違っていたと思っていません。大学で法律を学んだことは今のキャリアでも生きています。
富田記者になる夢はずっと持っていましたが、中3の時、テレビドラマに影響されて、突然、航空整備士になろうと方向転換したことがあります(笑)。いわゆる“文転”の逆パターンですが、さすがに先生方も驚いていました。しかし、海外でのボランティア活動などに取り組むうちに、自分はやはり記者になるべきではないかと思い直し、今に至っています
福島いつか起業をするという夢は、中3の時には早くも鮮明になっていました。その際、経営者として尊敬する父から言われたのは、数字に強くなることと、リーダーシップが必要になることでした。そこで、簿記の専門学校で学ぶようになり、リーダーシップの勉強に役立つかなと思い、文化祭実行委員に立候補して、経験を積ませてもらいました。
福島和洋九段の6年間は、私にとってまちがいなく人生の土台になった期間です。無限の可能性が広がっている中で、こういう道もある、こういうやり方もあると、背中を押してくれる先生方もいらっしゃいます。色々と迷ったり、悩んだりする青春時代ですが、これからもきっと、声を上げると必ず誰かが手を差し伸べ、応援してくれることでしょう。和洋九段でたくさん悩み、話をして、自分の世界を広げていってください。
富田和洋九段は、生徒一人ひとりの挑戦したいということに関して、「やってごらん」と、思いっきり後押しをしてくれる学校です。進路選択に迷いに迷った私でしたが、先生方に「やりたい」と伝えれば、いつも全力で応援してくださいました。自分らしく伸び伸びと過ごすことができた6年間でした。
中谷私も和洋九段で6年間、伸び伸びと過ごすことができて幸せだったと思っています。本当に居心地が良かったです。先生方も実に個性豊かで、様々な角度から貴重なアドバイスを頂戴しました。私にとって最高の母校であったと、今も胸を張ることができます。
津嶋それはもう十代の多感な時期ですから大変なこともありましたが、すぐに頭に浮かぶのは、楽しい思い出ばかりです。感動して泣いた日々も懐かしいです。もしも将来、女の子を授かったら、「和洋九段はどう?」って勧めたい学校です。
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