Stories
-インタビューを通して和洋生の成長をお伝えするStoriesの45回目。今回は今年度初めて中1が登場します。夏に行われた一輪車の世界大会で大活躍されたAさんからお話をうかがっていきたいと思います。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
-まずは世界大会での活躍、おめでとうございます!
ありがとうございます。
-後ほど一輪車についてもじっくりお話をうかがいますね。
-まずは今回も幼い頃のことから聞いていきましょう。Aさんは幼い頃どんな子でしたか?
小さい頃から今までずっと負けず嫌いです。小学校のかけっこでは、低学年の頃は負けることが多くて悔しくて、かけっこ教室に通って練習をして1位を取れるようになりました。
-かけっこ教室というのがあったんですね。
たまたま家の近くの体育館で行われていて、何回か通いました。体が小さくて歩幅が小さかったので、足の回転を意識するようにしてから足が速くなりました。
-負けず嫌いであることがプラスに働くのはどんな時ですか?
自分が悔しかったことを諦めないでチャレンジできることがいいことだと思います。運動だけでなくて色々なことに応用できます。
-確かにそうでしょうね。頑張り続ける原動力になりそうです。
-幼い頃の思い出は他にありますか?
通っていた保育園にうさぎがいて、世話をしていたのが思い出です。私は動物が大好きなので、お掃除をしたり餌をあげたり、色々しました。においはちょっとしましたけど、かわいさの方が勝っていました!
-そうなんですね。家では何か飼っているんですか?
今はハムスターを飼っています。小屋のお掃除をしてあげたり、今の子は家の中を歩きたがるので、見守りながら遊ばせたりしています。一度どこに行ったかわからなくなって、家中を探し回ってようやく冷蔵庫の裏にいるところを見つけました。
-小さいから見つけるのも大変でしょうね。
可能なら将来、犬やネコを飼ってみたいです。関西にある祖母の家で柴犬を飼っているんですけど、行った時に散歩に連れていって、とてもかわいかったです。
-いつか飼えるといいですね。
-話は変わりますが、一輪車はいつから始めたんですか?
小1から始めました。親が忙しかったので学童に通っていたんですけど、そこに一輪車があって、やってみたのが始まりです。
-始まりはたまたまだったんですね。
とにかく始めた時は難しくて、上手ではありませんでした。一輪車は有名な競技ではないので、乗っている人を見るのがその時が初めてだったんですけど、上級生が見本を見せてくれた時、「うまい人がいるなら私も頑張ればできるようになるかな、もっとやりたいな」と思って頑張りつづけました。
近くに一輪車のクラブがあって、その人達が教えに来てくれるという機会があって、その時にも色々な技を見せてもらいました。その時も「私もこんなことをできるようになりたい!」と思って、それが目標になりました。
-今通っているところはそのクラブなんですか?
いえ、今通っているのは別のところで、家の近くに住んでいる子が先に習っているところの発表会を見にいった時に一輪車の体験コーナーがあって、その時に「もしよかったら入らない?」と誘われたんです。その頃は1人で技ができるようになり始めた頃で、グループで演技するのもあったので、その人数あわせでした。
-そんなスタートだったんですね。
-今通っているところはどんなクラブなんですか?
5歳くらいから大人まで40人くらいが所属しています。指導はゆるめなんですけど実力がつくクラブです。小さい子から大人まで一緒にグループを組んだ時には、お姉さん達に教えてもらえます。年齢に幅があるからこそ、上手な人に教えてもらえるチャンスが多かったです。ちなみに母もそこで習っています。
-お母様も習っているんですね!
母から聞いた話だと、私たちがスイスイ楽しそうに乗っているのが楽しそうで軽い気持ちで始めたそうです。一緒に乗れれば補助もできるしと思っていたけど、今はそれを断念して大人の部のレースに出て楽しんでいるようです。始めた頃は親子で乗れる人がいなくて、大会でファミリー賞をもらえたのが嬉しかったと言っていました。
-和気藹々と楽しみながら練習を行っている風景が思い浮かびますね。
-そんな中で活動しているAさんが、頭角を現し始めたのはいつ頃だったんですか?
皆に追いつき始めたのは小2の終わりか小3のはじめ頃だったと思います。
-なかなかうまくいかない時、いやにならなかったですか?
上達しない時は「ちょっとな~」と思ったことはありましたけど、嫌になることはなくて、自分が少しずつできるようになっているなという実感がありました。
-小学生の頃からスモールステップを体現していたんですね。すばらしいです。
-大会に出るようになったのはいつ頃からですか?
小2から色々なところで行われる大会に出始めました。グループ、ペア、個人で出る競技が色々あるんですけど、はじめのうちはグループで出るだけでした。
-結構いい線いっているかも!と思い始めたのはいつ頃からですか?
小3くらいから他の人と一緒にする時にグループよりペアですることが多くなってきて、だんだんできるようになってきたなと思うようになりました。ただ、この頃は出ても低学年の部の中で下の順位ばかりで、大会で上位になる人は自分の知らない技をしている人がたくさんいて、すごいなと思っていました。
-どういう思いで練習を行ったり大会に出たりしていますか?
低学年の頃は結果が出ていたわけではないので「上の人に勝ちたい」という気持ちはあまりなくて「発表会で自分の演技を見てもらいたい」「もっと上手になりたい」という思いで、たくさんの技ができるようになることを目標にしていました。「自分も他の人に憧れられる存在になる」というのが今の目標です。
-なるほど。小学校の頃にかけっこで負けたくない、と頑張っていた頃に比べるとかなりの成長ですね。
-理想の自分と比較したとしたら、今Aさんはどれくらいにいますか?
半分くらいだと思います。
-世界で2位になっても半分ですか…。すごいですね。
-今の目標は何ですか?
世界大会では14歳以下という分け方なんですけど、日本の大会では中学生以上という分け方をすることが多いので、年齢が上の人もいる中で結果を残すことが次の目標です。
-勝機はありそうですか?
世界大会の後に行われた小規模の大会では、高校生もいる中で3位を取ることができました。
-早速成果が出始めているんですね。すばらしいことです。
-では、いよいよ夏の世界大会についてお話をうかがっていきたいと思います。今回参加したのはどんな大会だったんですか?
フランスで行われたUNICON20という大会に出ました。本当は2020年に行われることになっていた大会がコロナの影響で2年延期されて開催されました。一輪車はオリンピックの種目にはなっていませんが、「陸上のフィギュアスケート」と呼ばれていて、スピード部門と演技の部門があります。スピード部門は距離の違いだったり片足走行だったり色々な種目があって、私は50m One-footという片足走行の部門で2位に、演技部門ではIndividual Freestyle Jr Expert Femaleで3位になりました。
-すばらしいですね。あらためておめでとうございます。
-競技について色々教えていただけますか?
演技部門では振り付けと技の難易度で点数が付くんですけど、外国の人はテクニカルな部分で危険な技を取り入れることが多くて、日本人はそれとは違った振り付け重視の演技をします。
-なるほど。構成が色々あるんですね。
-どのような経緯で大会に参加することができたんですか?
通常は国内予選がビデオ審査で行われるのですが、今回はコロナの影響で応募人数が少なかったため予選は免除でした。前回の大会で日本人が上位3人に入っていたので、出場できる人数が増えて、今回は3名出られることになりました。
-実際に出られると決まった時はいかがでしたか?
すごく嬉しかったです。それと同時に日本代表になるんだというプレッシャーも出てきました。
-そうでしょうね…。
-フランスに行く時に印象に残っていることはありますか?
一輪車も大きいスーツケースに入れて移動するので、荷物がとても多かったのと、飛行機が14時間かかったのでその間は緊張とか楽しみというのもなくて夏休みの宿題をしたり、窓の外の風景を見たりしていました。今はロシアの状況が不安定なので航路も違って、遠回りをしました。時間は余計にかかってしまったんですけど、氷河を見ることができて興奮しました。
-それは貴重な経験でしたね。
-フランスに着いてからはどうでしたか?
一日目はパリにいたので観光もできました。写真でしか見たことのなかったエッフェル塔や凱旋門などが見られてとても嬉しかったし、見える風景が全く違いました。周りから聞こえてくる言葉も普段とは違って新鮮でした。
二日目は大会が行われるグルノーブルに移動して既に大会が始まっている会場に行きました。そこでは自分が今まで見たこともない技がたくさん披露されていて、小さい頃はその人みたいになりたい!と思っていたのが今回はあまりに危険な技すぎてケガしないのかなと心配になってしまいました。
その後、本番会場とは違う練習用に準備されていた体育館で練習したんですけど、日本の体育館の床とは材質が違って、とても滑るという印象を受けました。フランスでは外で一輪車に乗っている人も多くて、外靴のまま体育館に入ってくる人もいて滑ったのかもしれません。
-それは大変でしたね。実際に会場で練習できたのはいつなんですか?
当日でした。試合会場は練習した体育館よりもっと滑って、何も技ができなかったので修正が必要だと思いました。そこでは時間いっぱいこいで技をやり込めるだけやるという思いで練習しました。
コロナ禍で人数制限もあったので、私は母と2人でフランスに行って、コーチは付いてきていませんでした。このままだと失敗して終わっちゃうと思ったんですけど、うまくいくことを優先して、できない技はできる技に変えてしまいました。普段から技を変えることはあって、その時もコーチにあまり言われなかったので、それならやっちゃおうと思って思い切ってやりました。
-自分で決めて変えてしまったのがすごいですね。コーチがAさんに任せてくれているということですよね。Aさんがそれをできるというのを信じているのだと思います。
-実際に本番で演技する際はどうでしたか?
私は順番が1番だったので、練習し終わったところですぐ名前を呼ばれて心の準備もなく焦りました。でも、「やるしかない」と思って、焦りながらもとにかくやるという思いで臨みました。その分、いらぬ緊張はなかったと思います。
-大会に出てみてどうでしたか?
自分の思うようにいった競技といかなかった競技両方ありますけど、経験したことがないことがたくさん起こってよかったです。外国の人といっぱいレースを走って充実していました。
会場でも英語しか伝わらないので、わからないことは母に通訳してもらいながら、できるだけ自分で理解して話すようにしました。でも、今回はあまり海外の人と英語で会話ができなかったので、次に海外に行くときは今回よりも海外の人と直接会話ができるように頑張りたいです。
-よい目標ができましたね。英語での会話を体験してみてどうでしたか?
本場の英語に触れるのが初めてだったので、英語の速さに驚きました。他の選手から声をかけてもらうことが多かったんですけど、演技がおもしろかったよ、と言ってもらえたり、サインください、と言ってもらったりしました。
-コミュニケーションが取れたんですね。
-世界大会に出てみて感じたことはどんなことですか?
海外の人の温かさを感じました。「頑張って」と声をかけてくれたり、手拍子をして盛り上げてくれたりしたのが嬉しかったです。
-会場の雰囲気、伝わってきますね。
-結果を受けて、自分より上位になった選手との違いはどんなところだと思いますか?
観客を巻き込んで演技をしていたり、自分自身が人に演技を見せることをとても楽しんでいると感じました。
-貴重なお話をありがとうございました!
-では次に、中学受験のことを聞いていきたいと思います。Aさんはなぜ中学受験をしようと考えたのですか?
小学校の頃、一輪車をしていた年上の人たちが中学受験や高校受験をきっかけにしてやめてしまうことがよくありました。私はずっと続けたいと思って高校受験がない私立中学を受けることにしました。
-そうなんですね。受験する上で不安はありましたか?
地元の公立中学に通う子が多かったので、私立中学で友だちができるかな、という不安がありました。
-実際に入学してみてどうですか?
1日目と2日目で知っている子やお話しできる子ができてよかったです。
-学校では何をしている時が楽しいですか?
お昼ご飯を食べた後にクラスの子と一緒に遊んでいる時が一番楽しいです。皆で集まって女子トークしたり、休みの日に遊びに行く約束をしたりしています。
-楽しそうですね。
-一輪車を頑張りながら勉強も頑張るコツはありますか?
空き時間を見つけるのが大変ですけど、休み時間に宿題を見ておくことはしています。
-一輪車以外で何か趣味はあるんですか?
やりたいことがなくはないんですけど、学校から帰って一輪車の練習までは宿題をして、帰ってきたら夜なので、明日でいいや、明日でいいやと先延ばしにして結局やっていません。
-ひそかに時間があったらやりたいことはありますか?
工作が好きなのでハンドメイドでキーホルダーを作ってみたいです。
-いつか作れる時間が取れるといいですね。
-学校でクラブには入っているんですか?
体操部に入っています。動くのが好きなので運動部に入りたかったんですけど、回数が少ない運動部ということで体操部にしました。
-体操部の活動は一輪車に活きていますか?
逆立ちをするので腕の力が鍛えられます。一輪車では主に足の力を使いますけど、人を支える時などに腕の力も必要なので。
-なるほど。この後、文化祭もありますけどどんなことをしますか?
私は逆立ちからのブリッジとトランポリンで開脚跳びをします。あと、曲に合わせてサビにはダンスも踊ります。
-お客様が楽しんでくださるといいですね!上級生になったら体操の演技の中に一輪車の演技を入れて披露してみるのもいいかもしれませんね。
-入学して半年経ちましたけど、大きな行事がいくつかありましたよね。何が思い出に残っていますか?
ブリティッシュヒルズに行ったのと体育祭が思い出です。ブリテッシュヒルズでは学校で習っている授業とは違って、全部英語だったのは大変だったけどゲームがあって楽しかったし、建物がおしゃれだったり食堂がハリーポッターみたいだったり…。マントも着て魔法使いになった気分でした。
-体育祭はどうでしたか?
自分が出る競技がたくさんあって楽しかったです。綱取りではみんなで協力して1本の綱を取ったり、クラブ対抗リレーでバトンパスも協力したり、クラス対抗リレーでは差を付けて優勝できました。
-かけっこ教室の成果がここでも発揮されたということですね!
-大変だったことはありますか?
和洋体操を覚えるのが大変だったですけど、本番では間違えずに踊ることができました。一輪車の上で踊るのはできるけど、陸上のダンスは苦手で、途中で踊るダンスのステップを覚えるのも大変でした。
-これからの和洋生活をどのように過ごしていきたいですか?
皆から気軽に話しかけてもらえる存在になりたいなと思います。仲がいい人だけではなくて色々な人が気軽に話しかけられてもらえると嬉しいです。私は昔気が強いところがあって、人に軽く話しかけてもらえる感じではなかったので、中学では色々な人と話せる存在になりたいなと思います。
-そう思うようになったきっかけは何かあるんですか?
海外に行ったのが大きいです。外国の方は明るくポジティブで、自分もそういうふうになれたらな、と思います。
-自分がそう振る舞うことで、自分の周りの雰囲気がよくなっていくと感じているんですね。すばらしいと思います。早速外国に行ったプラス面が出ていますね。
-将来の夢はあるんですか?
両親が薬の仕事をしている影響で、今は薬の研究者になりたいです。
-一輪車のプロパフォーマーにはならないんですか?
一輪車はやりたいけど、プロになるというよりは今は一輪車で有名になりたいという方が強いです。
-中学1年生のコメントとは思えませんね!頑張ってください!
-では最後に、受験生に向けてメッセージをお願いします。
中学校生活では、小学校と色々変わることが多くなります。でも、和洋九段は校内が綺麗で、先生の面倒見がとてもよく、入学前は不安だった中学校生活が、今では毎日がとても楽しくて充実した中学校生活を送れています。特に、入学して割とすぐに宿泊行事があって、それが私にとってとてもいい思い出になりました!
コロナで小学校ではいろんな行事が中止になってしまった中で、中学校の新しい友達ともさらに仲良くなるチャンスがあり、楽しいです。受験勉強は大変だと思いますが、それを乗り越えて新しい友達との出会いやいろんな行事を楽しんでほしいです!
-今の生活を楽しんでいるのが伝わってくるメッセージですね。今後も学校生活とともに、一輪車世界一を目指して頑張ってください。ありがとうございました!
【X先生からAさんについてのコメント】
自己管理をしながら何事にも向上心を持って取り組み、効率良く時間を使って学習・部活動・習い事の両立に励んでいます。
いつも笑顔で礼儀正しく、積極的にその場に応じた意見を述べることができるため、級友からの信頼も厚いです。
これからも様々な場面での活躍を期待しています!