Menu

Stories

Vol.23 高3 Mさん

-インタビューを通して和洋生の成長をお伝えするStories。今回から5周目。通算23回目となります。高3のMさんにお話をうかがっていきたいと思います。よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

-早速ですが、Mさんはどんな小学校生活を送っていましたか?

もちろん友だちと遊んだりもしていたんですけど、本をたくさん買ってもらって読んでいた記憶があります。

-読書が好きなんですね。どんなジャンルの本を読んでいたんですか?

当時は重松清さんとかあさのあつこさんとか、読みやすくて子どもが登場人物になることが多い作品や、ハリーポッターのようなファンタジーをよく読んでいました。

-重松清さんやあさのあつこさんは中学入試の国語の問題でもよく取り上げられますよね。ファンタジーはどんなところが魅力なんですか?

自分では体験できないことを本の中では経験することができます。こういうことができたら楽しいだろうな、というのが感じられましたし、すごくワクワクしました。今でも本を読むのは大好きです。

-今はどんな本を読んでいるんですか?

推理小説とか青春新奇伝などのミステリーをよく読みます。西尾維新さんとか…。

-青春新奇伝というのは初めて聞きましたが、どんな本なんですか?

青春新奇伝というのはジャンル名で、現実と非現実が交差しながら進んでいくお話です。

-おもしろそうですね。他に本に関して感じていることはありますか?

今よく読むジャンルは幼い頃と違いますけど、例えば重松清さんの作品をたまに読み返すと、以前とは違うものが見えてくることがあります。幼い頃は「この人いやなキャラだな」としか思えなかったものが、「こういう気持ちがあったから言えなかったんじゃないかな」みたいに読み方の変化を感じられて、自分が成長できているのかなと思います。

-なるほど、読み方の変化から自分の成長が実感できたんですね。Mさんにとっては現実の世界以外にもう一つ大切な本の世界があるということでしょう。日々、本に費やす時間はどれくらいあるんですか?

私は登下校で電車に乗っている時間を全て読書に使っています。私の読みたい本が学校の図書室にもあることがわかって、最近頻繁に借りるようになりました。

-残り少ない学校生活ですが、図書室の本もたくさん読んでもらえると良いと思います。
-では、次に中学入試の頃のことを聞こうと思うのですが、覚えていますか?

うわ~、なつかしい!前のことすぎてあまり覚えていないかもしれません…。

-もちろん思い出せる範囲で大丈夫ですよ。
-では、中学受験をしようと思った理由は何ですか?

私は東京近郊の県に住んでいるんですけど、その頃は「新しいものは全て東京に集まっている!」というイメージがありました。和洋は東京の中心部にあるので、自分の知らない場所で自分の知らないことを経験できて、それが自分にとってプラスになるのではないかな、と思っていました。中学から環境もリセットすることで成長できるといいな、という感じでした。

-どんなことを期待していたんですか?

自分自身が変われるかも、という思いがありました。小学校の時から声が大きい割に前に出るのが苦手で、今でも人前では手が震えて足もガクガクします。でも、和洋に入ってからプレゼンする機会がたくさんあって慣れてきましたし、他の人が迷っているならその時には自分がやるよ、と言って今までの自分を乗り越えようとしてきました。メンバーも変わるし、ハキハキできるようになりたいな、と願っていたのだと思います。

-中学から変わっていきたいというチャレンジする目標ができたんですね。意識的に前に出ようと心がけていたのがすごいと思います。中高時代で行ったプレゼンの経験は、大学や社会に出てからきっとプラスになるでしょうね。
-では次に和洋に入学した後のことを聞いていきましょう。中学時代の自分を振り返ってどんなことが浮かんできますか?

色々なことに挑戦していた自分がいたな、と思います。

私は中1から美術部に入って活動しているんですけど、絵も上手ではないし、センスないな、自分には向いてないな、やめちゃおうかな、と思うこともありました。

でも、美術の先生や顧問の先生に助けてもらって、否定されることなく色々な提案をもらって成長できているな、と思います。美術部の活動は楽しいですし、中学の頃は心も成長しきれていなくてクラスでもめてしまうこともあったけど、美術室に行って黙々と絵を描いていると落ち着けて、そういう自分の居場所があったのは心のよりどころになっていました。

-自分に向いていないな、と思った時があっても、なぜ続いたんだと思いますか?

美術は正解がないものだと思います。先生からも美術選択の友人からも「ここがいいね」「ここ、うまいじゃん」と言われて否定されることがありません。小学校の時に少し習っていたピアノとか水泳は「ここがダメなんじゃない?」というアドバイスが多くて、周りの子に抜かれていくのが苦しかったのを今でも覚えています。
美術についてはまわりの人が褒めてくれたことで、「ダメじゃないのかも…」と自分を過信(?)することができて、ニョキニョキ成長できているのだと思います。やっぱり絵を描くことが好きなんだな、と自分自身も感じていますし、中学時代に始めたクロッキーは十三冊目になっています。努力を継続することは本当に大切だと思いますし、続けてきてよかったな、と思っています。
今でもスランプはありますし、「向いてないな」「やりたくないな」と思ってしまう瞬間はあるんです。でも、その度ごとに先生や友人から「別の方向でやってみたら?」という助言をもらえて、それによって他の視点が得られるので助けられています。

-本当に絵の世界から多くのものを得ているんですね。
-今までの経験が絵を描く時に活かされるということもあるんですか?

はい。私は小学校の時、中学受験もあるからということで3DSなどのゲームは買ってもらえませんでした。その分、観劇や美術館、バレエ、アイススケート、サーカスなど自分が行きたいと言ったものにたくさん連れていってもらえました。
小さい頃に色々なことを体験出来たことが、絵を描く時のイメージを作る時の役に立っているかな、と思っています。

-なるほど。そういう経験も活かされているんですね。
-中学時代を思い出して、他に何か浮かんでくるものはありますか?

中学の時は自分のことで精一杯で、「自分が正しい!」と思い込んで周りが見えなくなってしまって、友だちを傷つけてしまったこともあったと思います。
でも、近くにいた親友が、自分のことだけでなくて周りのことが見えているなと感じた時があって、自分もそういう風に成長しなくちゃ、と思っていました。

-友人の成長を見て、自分もそうありたいと思えたんですね。すばらしいと思います。
-では高校に入ってからのことを聞いていきたいと思います。中学から変化はありましたか?

「高校になってちゃんと勉強するようになったな、と思います(笑)。勉強するのは当たり前なんですけど、自分はその当たり前ができなくて、好きなことしかやっていませんでした。

高校になって進路のことを真剣に考える中で、進みたい方向に行くためには努力が必要だということに気づいて、頑張れるようになりました。やはり英語は積み重ねが大切でなかなか難しかったんですけど、世界史とか現代社会とか、現代文とかここからの実力をしっかり付けていくことができそうな科目から、順に取り組んでいきました。特に世界史は、担当の先生が美術品と歴史の繋がりを話してくれたことがきっかけで興味を持つことができて、自分の好きなことと勉強の繋がりを感じることができました。とても話しやすいですし美術部の顧問でもあって、自分を成長させてくれた人のうちの1人です。

-そうなんですね。「好き」と「学問」の繋がりを感じられたのはよかったですね。
-他にはありますか?

大きな作品に取り組むことを心がけるようになりました。大きな作品をじっくり時間をかけて取り組むことで達成感を得られますし、先生に見てもらった時にアドバイスに加えて「ここがいいね」と言ってもらえることもあって、努力が認められて嬉しかったです。
あともう一つあって、中学の時よりも学年の先生に色々と頼ってもらえる場面が多くなりました。文化祭のポスターとか販売するもののチラシ作りとか、中学から積み重ねてきた努力が高校になって本当に少しずつなんですけど実る機会ができて、それがとても嬉しいです。

-今年の文化祭でもとても独創的なポスターを作ってくれていましたね。

はい。今年は他のポスターより目立つためにどうしたらいいか考えて「こんな考えは今までになかった」というものを作りたくて、立体的なポスターを作ってみました。すごく時間がかかったんですけど、見てくださった方が楽しんでくれて、自分の努力が評価してもらえて、頑張ってよかったなと思えました。頼ってもらえる分、それに応えられるだけの結果を残したいなと思っていて、将来的にも美術の力を活かしていきたいなと考えています。

-将来的なビジョンはあるんですか?

大学に入ったら教員免許を取って先生を目指したいな、と思っています。ただ、大学に入ってから得られるものもきっとあるだろうし、絶対に先生になる!って固めて進学するんじゃなくて、いろんなものに出合って、いろんなことを経験した上で自分の将来を決めたいなと考えています。私が進学する大学は、初めから一つの分野に絞るのではなく、幅広く学べることに魅力を感じています。そこでの経験を通して、自分の本当にやりたいことを見定められるかな、と考えています。

-大学で新しい環境になって、また色々と経験できることがあるでしょうね。
-他に何か高校生活の中で浮かぶことはありますか?

また部活のことなんですけど、先輩との上下関係に縛られるのはいやだな、と思う時があって、それを先輩に伝えたことがありました。美術部で作品を作る時に言いたいことが言えないとその考えが反映できないなと思ったんです。元々先輩と仲がよかったので言いやすかったというのもあって、先輩も話を理解してくれて、今もその雰囲気が部の中で受け継がれているのでよかったな、と思います。

-なるほど。形だけ変えるのではなくて作品作りをする上で一番大切なことのために、という意味づけがあったからしっかりと浸透したのでしょうね。Mさんが勇気を持って伝えられたのがよかったですね。

後輩とは今でもよく話しますし、話をする中で自分が持っていない視点を得られるし、周りのみんなも私の持っている視点をどんどん受け取ってほしいです。

-お互いが考えていることを伝え合うということは、それぞれの世界が広がるということなんですね。Mさんのあらゆる成長が「美術」から生み出されているのがおもしろいですね。

はい。すごくいいものに出合えたな、と思っています。美術自体はもちろん、そもそも美術のことを大切に思えたのも、周りの友だちや先生、家族の支えがあってのことで、美術を通して大切なものに出会えたな、と思います。

-聞いていて、このインタビュー動画自体をアップしたい気持ちになりますね。文字にするのがもったいないように感じます。
-インタビューを通して今、感じていることはありますか?

繰り返しの内容になってしまうんですけど、和洋に入って色々な先生と出会えて私のことを肯定的に捉えてくれたので、色々なことがあっても自分で乗り越えていける力が身についたかなと思います。友だちも含めてまわりの人も支えてくれたし、そういう部分が私の成長に繋がっているのかなと思います。

-美術を中心とした和洋生活で、すばらしい成長ができたんですね。ありがとうございます。
-では、後輩の皆さんに向けてメッセージをお願いします。

私は幼い頃から小さな努力を重ねてきたタイプで、私より才能がある子は星の数ほどいると思うんですけど、努力を積み重ねることで自分が自分らしく輝ける場所が見つかったので、努力は無駄にならないと思います。見えていないところでも必ず気づいてくれる人はいるので、努力し続けてほしいな、と思います。自分の支えになってくれる人は必ずいるから、自分を否定しないで、自分だからできることを和洋の中で見つけられるときっと楽しいと思います。

-お話を聞いていて、自分の好きをもとにしているなということと、他人と比べないことから生まれる楽しさがあるな、と感じました。

他人と比べるより自分のよさに気づいてそれを活かした方が作品でもよいものができると思うので、私はそれを心がけています。

-大事なことですね。どうしても大人は「何位だったの?」と他と比べがちですから。

子どもは誰でも自分で努力したことを認めてほしいという気持ちを持っていると思うんですけど、大人はそれに気づけることが少ないので…。

-結果よりプロセスが大切、ということに繋がるかもしれませんね。
-では最後に、受験生へメッセージをお願いします。

私は四字熟語とか慣用句が苦手でした。それを克服するためにドラえもんの漫画形式の本を何度も読んで頭に入れていました。苦手な人は試してもらえればと思います。

努力は何歳になっても必要なので、最後まで諦めることなく、努力は実ると信じて頑張ってほしいです!

-好きなものを突き詰めることで人は成長できるということを実感できるお話をたくさん伺えました。ありがとうございました!

【X先生からのMさんについてのコメント】
好きな物事への愛着や信じる力を磨き上げてきたことで、作品にも飛躍的に説得力が増しました。様々な理論や技術を積極的に取り入れ、自分のものにしてきたからだと思います。そして、Mさんは周囲をも明るく照らし、励ます力を持っています。
また、依頼されたことも快く引き受け、意欲的に取り組んでくれます。「得意なもの=自分が持っている強み」に気づいて、それを活かしているのが成長の証ですね。

Vol.24 高2 Mさん
Vol.22 中1 Sさん