和洋九段女子中学校高等学校

Stories Vol.18

Vol.18 高2 Sさん

-生徒の成長をインタビュー形式でお伝えするStories 第18回になります。今回は高2のSさんです。よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

-早速お話を伺っていきたいと思います。Sさんは小学生の時、どんな子でしたか?

私は目立つことがあまり好きではなくて、発言はあまりしない方だったと思います。授業でも手を挙げることはほとんどなかったですし…。

-なぜ嫌だったんでしょうね?

答えが決まっているものを答えるのが特に嫌で、間違えたくないな、当てないでほしいな、といつも思っていました。小学校では手を挙げた人が答えるんですけど、正解がわかっている子が答えるのがほとんどでした。先生が問題を解いている私たちの机のところを回って、「合っているよ」と声かけをしてくれた時には手を挙げていました。

-正解が続いていく流れの中だと、勇気をもって発言するというのも難しいのかもしれませんね。
-放課後は何をしていましたか?

3:50までは校庭で遊んでよいことになっていたので、友だちとドッチボールをすることが多かったと思います。あとは習い事でバレエを習っていたのと、塾にも通っていました。

-バレエは長く続けていたんですか?

そうですね。幼稚園の頃から小6の5月まで続けていました。おけいこごとの一つとして習っていたので、年に1回スクール内の発表会はありましたけど、コンクールに出ることはありませんでした。

-そうなんですね。中学受験はたくさん受ける地域だったんですか?

はい。クラスの3分の1くらいは受験していました。3つ上の姉も私立に通っていたので、家の方針として私も私立受験をしたという感じです。私自身も公立より私立の方がよいイメージがあったので、勉強はあまり好きではなかったですけど受験勉強をしました。

-そうなんですね。和洋九段が受験校に入ってきたのはなぜでしょう?

はじめに私が「これは必ず!」という条件をいくつか挙げました。家から1時間以内で通えるとか、制服の好みだとか。最初は女子校という条件も入れていました。それをもとに母が合いそうな学校を選んでくれて、和洋九段も受けることになりました。

-なるほど。お母様のサポートがあったんですね。
-和洋九段に入学した頃の思い出はありますか?

私は中1の頃から管弦楽部に入っているんですけど、それが今まで学校生活の中心になっています。

-楽器は小学校の頃から演奏できたんですか?

いえ、経験はなかったんですけど、これも母が学生時代に吹奏楽部だったので、楽器を勧めてくれたというのがきっかけです。

-要所でお母様がアドバイスをくださっているんですね。Sさんは何のパートを担当しているんですか?

私は打楽器全般を扱うパーカッションを担当しています。グロッケン(鉄琴)とか大太鼓とか、シンバルにチャイム、ティンパニ…色々やります。普段はリズムの基礎練習を行って、曲の譜面がある時はその練習も行っています。

-そうなんですね。Sさんはなぜパーカッションを担当することになったんですか?

自分がどのパートを希望するか選べるんですけど、テレビでたまたま見た演奏でドラムをたたいている姿がかっこよかったんです。「ドラム」という1つの楽器にくくられてしまっていますけど、複数の音が出せて、一つだけど一つじゃない、というところにひかれたのかな、と思います。

-なるほど。ドラムの演奏に魅了されたんですね。

ドラムの演奏ができるのは中3からなので、コロナの影響もあって発表の舞台では数回しか演奏できていないんですけど、ドラムの魅力として感じるのは、音楽の基盤になっている部分で、音楽に乗りながらも絶対に守らなきゃいけないものがあって、楽しみながらも冷静さが必要なところだと思います。

-確かに音楽の中でとても大切な部分ですね。
-他に中学の時に印象に残っていることはありますか?

中3の夏休みの宿題で、「将来どうありたいか考える」という内容があって、それについて文化祭で発表したことが印象に残っています。シンガポール修学旅行や、夏休みに訪問したユニリーバで体験したことをもとに、積極性の大切さや「自分の好きなことが社会貢献に繋がって自分らしく輝ける人になりたい」という内容を発表しました。

-小学校の時はあまり発言をしなかったとのことでしたが、発表することになってどうでしたか?

選ばれた時は「なんで私?」と思いました。でも中1からPBLで自分で考えて、それをしゃべらないと始まらないということを繰り返してきたので、慣れというかよい練習になっていたと思います。でもその時はまだ「言わなきゃいけないから言う、他の時は言わない」ということが多かったです。

-そうなんですか。とはいえ、入学した後、徐々に成長しているのがうかがえますね。
-中3でSDGsすごろくの制作にSさんも関わりましたけど、それもどのような経緯だったか教えてもらえますか?

はい。中3の文化祭で学習発表展の係に立候補したんです。中1から授業で発表がたくさんあって、大学でも社会に出てからも大事になるんだろうな、と思っていました。この時期には「このまま積極的でない大人になったらまずいな、人とコミュニケーションをとれるようにならなきゃ」と思っていました。このことを友人に話していて、その子の後押しもあって思い切って立候補できました。

-中1、中2とPBLを行ってきて、徐々に発表に対するハードルの高さが解消されていって、「このままだとまずい。自分を変えたい」という思いが積極性への原動力になったのでしょうね。すばらしい成長だと思います。
-話し合いではどんな感じでしたか?

メンバーの中には今までクラスが違って話したことがない人もいました。私は人見知りなので最初は聞き役が多かったです。今まで人前で発表してきてしゃべるのが得意な子もいましたし、私と同じようにそういうのが苦手という子もいました。ただ、話し合いの中では自分がしゃべるのを待ってくれたり話を振ってくれたり、自分が意見を言うのを少し待ってでも聞いてくれるメンバーだったので、ここでは思っていることを言ってもいいんだな、と感じることができて、自分の意見を言えるようになりました。メンバーはそれぞれプレゼンの資料を作るのが得意だったり発表が得意だったり、映像編集が得意だったりイラストが得意だったり、得意なことがそれぞれありました。「自分の得意は何だろう?」と考える中で、自分は表に立つというよりゲームがきちんと行われるよう裏でサポートすることを見つけていくのが合っているな、と思うようになりました。

-活動の中で得られたことはありますか?

色々なところで実施させてもらいましたが、終わってからの振り返りでは環境問題をはじめ、社会にある問題をどうすればよいかなど「目的があっての話し合い」が多かったです。たわいない話もしますけど、両方をできるのがTeam Amiのいいところだな、と思います。それぞれがすごろく以外の活動もしているので、それを共有することで、社会の中で自分が知らないことがどんどん知識として入ってきます。

-お互いに刺激しあっているのでしょうね。チームとしての力強さを感じます。
-高校に入ってからはどうですか?

高校になってからは自分の興味から社会に関わりを持っていく探究の時間があります。高1では「デモ」に関心があって、ニュースなどで見る海外の過激なデモと日本のデモがどう違うかについて考えました。
暴力という手段はいけないと思いますけど、明らかに社会が動いているな、というのが伝わってくる海外のデモに対して、日本のものは全く違います。実際に駅前で行われていたデモを見にいったんですけど、「これで伝わるのかな?」というものに見えました。実際にこういうふうにできたらいいな、というプランまではできたんですけど、緊急事態宣言もあってアクションには至らず終わりました。

-2年生ではテーマが変わったんですか?

はい。高2ではジェンダーについて考えています。私は誰でも着たい服が着られる社会になることを目指しています。今もジェンダーレスなファッションを売っている会社はありますが、全国展開されていないため気軽に買うことができませんし、自分で探しに行くかオンラインでしか購入ができません。そういうお店や服の良さを大企業にアピールして手軽に手に入れられるような仕掛けを作れるといいな、と思っています。

-これは将来の夢にも関係してくるんですか?

はい。私は将来服を作ったりデザインしたりする仕事をしたいな、と思っています。小さい頃習っていて好きだったバレエの衣装とか、アイドルの衣装とか表舞台で着られる洋服をSDGsに絡めて制作していきたいと考えています。

-なるほど。なぜそういった考えに至ったんですか?

SDGsを学んでいく中で、安い衣類の裏側についても知る機会がありました。アパレルの世界で服を作ることによって起こる問題、例えば染色する過程で有害物質が利用されるなど生産の過程で起こる問題がたくさんあります。
表舞台に立ってパフォーマンスする人が環境に配慮した衣装を着てくれることで、自分が伝えたい思いが社会に伝わるといいな、と思っています。自分が学んできたこととやりたいことを繋げて、社会にある問題も改善していく。これが私の目標です。

-持続可能な社会の実現に向けて貢献できるとよいですね。期待しています。
-インタビューを通して何か感じたことはありますか?

昔は発言することに対して「合っているかな」「言っていいのかな」と気にしてしまって言えなかったけど、今は思っていることを言っても大丈夫だな、という安心できる場所を得て、自分の思っていることを話せるようになりました。それに対して否定的でなく意見を言ってくれる人がいるということも変わったことだな、と思います。

-そういう存在に気づけたのがSさんにとっての一番の成長で、変化していく上でそういう存在は大きいかもしれませんね。
-では、在校生に向けてメッセージをお願いします。

ちょっとでもやってみたいな、と思ったものには勇気を持ってやりたいと手を挙げることが大事です。やりたいけど言わずにできなかったと後悔するのではなく、言ってみて結果としてできなかったという方が納得できますし、やりたいと発言したことを誰かがきっと覚えてくれていて、別の機会に勧めてくれるきっかけになるかもしれません。ぜひ声に出してもらいたいです。

-実体験に基づくアドバイスですね。
-では最後に、受験生に向けてアドバイスをお願いします!

中学生になって部活動に入ると先輩がいて、小学生の時とは違う上級生との関係ができます。学校の中で「同じ生徒だけど教えてくれる人」ができます。先生とはちょっと違った「教えてくれる存在」です。部活動に入って他学年の人と交流を持つことで、新しい環境に踏み込んで自分が成長するきっかけが生まれます。部活動以外でもよいので、クラスや同学年ではない交流が持てるものに所属すると、自分が成長できる場所が授業以外にできると思います。自分が変わるきっかけになると思うので、ぜひ入学したらそういう関係も作ってもらいたいです。

-中学に入学した後、成長していくための大切な視点ですね。Sさんのお話をうかがって、同質でない人たちとの関係性が成長や変化のきっかけとなることがよくわかりました。ありがとうございました!

【X先生からのSさんについてのコメント】
後輩の面倒見が良く、地道にコツコツと努力を重ねています。
入学当初は前に出ることのなかったSさんが勇気を出して企業でインターンを行い、積極性や前向きであり続けることの大切さを知れたことが今の成長に繋がっていると思います。また、将来の夢が明確になり、それを家族に具体的に話せたことも成長です。
これからも自分らしく輝けるよう、専門的スキルを身につけながら夢に磨きをかけていってほしいですね。

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