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Stories

Vol.56 高1 Yさん

-インタビューを通して和洋生の成長をお伝えするStories。今回は56回目。高1のYさんからお話をうかがっていきたいと思います。よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

-では、インタビューに入っていきましょう。Yさんは幼い頃どんな子でしたか?

かなりの人見知りで、1人でおままごとをしたり本を読むのが好きでした。私は一人っ子なので親と一緒にお店屋さんごっこをよくしていました。

-親御さんと一緒にしていたんですね。本はどんなものを読んでいたんですか?

「しろくまちゃんのほっとけーき」やtupera tuperaという絵本作家の作品を読むのが好きでした。小さい頃から図書館にもたくさん連れて行ってもらっていたので、絵本コーナーに行って読みたい本を選んで借りて帰っていました。あと、幼稚園ではたくさん本を読もうという方針があったので1週間に1冊は読んでいました。

-ずいぶんたくさん読んだんでしょうね。

小学校に入ってからも本好きは変わらず、青少年読書感想文全国コンクールを意識して頑張っていました。小3の時には宮川ひろさんの「先生のつうしんぼ」、小4の時には重松清さんの「くちぶえ番長」という作品を読んで県まで進み、それぞれ入選しました。

-好きなものを積み重ねて成果が出るのがすばらしいですね。
-幼稚園では本を読む以外にどんなことをしていましたか?

通っていた幼稚園は色々なことをやる幼稚園で、体育、言語、音楽それぞれの分野で様々な活動を行っていました。絵日記を書いたり俳句を詠んだり、一輪車に乗ったりキーボーードを弾いたりしていました。その中で本を読んだり文章を書いたりという活動もあって、それが読んだり書いたりするのが好きになったベースになっていると思います。

-3つの分野の中で一番好きなのは何でしたか?

音楽が一番好きです。カスタネットや鍵盤ハーモニカをしたり、年少から色々なことをしていて、大人数でワイワイするのが好きなタイプではなかったけど、皆で歌うのは大好きでした。

-そうなんですね。
-幼稚園以外ではどんなことをしていましたか?

習い事をたくさんしていました。その中でも長く続いたのがスイミングとピアノと公文です。

-その中で思い出はありますか?

スイミングは年少から小5まで習っていました。顔に水がかかるのが苦手だったのを見かねた母が克服させたいと思って習い始めたそうです。同じ級の子同士で練習をするので仲良くなりましたし、だんだんとできるようになって達成感もありましたし、自信もついて、良い息抜きにもなっていました。

-はじめは苦手意識からだったようですが、息抜きになる程になったのはなぜなんでしょう?

水泳をしている間は考え事をしなくてすむからだと思います。ある程度までは努力で何とかなりますし。でも、最終的にはタイムをあげないと級が上がらなくなってお友だちが皆上の級にいってしまったのに自分はいけなくて、楽しくなくなってやめてしまいました。

-そうなんですね。
-ピアノの方はどのような経緯で始めたんですか?

体験レッスンの数日前に3.11が起こってしまって、さすがにこの状況ではできないと思って母が体験日を延長させてほしいと連絡した時、ピアノの先生が「ピアノは停電に関係ないのでレッスン出来ますよ」「テレビを付けても地震速報だったり津波の映像ばかりでつまらないからピアノをやったら気持ちが晴れるかもしれませんよ」という言葉で母がハッと気づいてやらせてみよう!ということになりました。実際体験をしてみると私もノリノリになって、習い始めることになりました。計画停電の時は懐中電灯などを置いて、手元を照らしながらレッスンを受けていました。私自身も初めての経験で不安定になることもあり、気持ち的には暗くなりがちな時期でしたが、ピアノを弾いている時は明るくなることができました。正直言うと練習は好きでなかったのですが、私が好きなディズニーの曲を先生が選んでくれて、それをモチベーションにして頑張っていました。

-発表などもあったんですか?

人前で発表する機会は発表会とピティナ・ピアノステップの2回ありました。直前までは緊張するけど本番になるとふっきれて楽しくやっていました。人前に出るのは好きな方だったし、小4の頃、学校の合唱団でNコンの地区コンクールなどの大きな舞台に立った経験もあるので、慣れもあったのだと思います。

-そうなんですか。他にも理由がありそうですか?

私は一人っ子で親戚でも9歳上の年の離れたいとこが1人しかいなかったので、たくさんの大人に構ってもらっていました。祖父母の前でしゃべったり歌ったりする度に否定されずに喜んでもらえて、すごいね!と言ってもらえました。それが自信になっていったのだと思います。ほめてもらえて伸びるタイプなので(笑)。

-たくさんの愛情を注がれていたのでしょう。温かい雰囲気が伝わってきますね。
-では次に中学受験のことを聞いていきたいと思います。Yさんが中学受験をしようと考えたのはなぜですか?

一番大きな理由は地元の中学にあまり行きたくなかったということです。小学校からほとんど同じ中学に行くんですけど、男子の乱暴な言葉や行動が嫌でした。あとは今でいうブラック校則みたいなものがたくさんあるというのを聞いていたので行きたくないなと思いました。

-なるほど。和洋九段を受験することになったのはなぜでしょう?

公文の先生に勧めてもらったのがきっかけです。小4か小5の時に学校見学に来てビビっときました。また、校舎がきれいなところに魅力を感じました。通っていた小学校は伝統がある古い校舎と言われていましたが、私には決して「古くていいね」という感じではありませんでした。屋内に温水プールがあることやグランドがないというのも嬉しかったです。

-なくて嬉しいというのはどういうことでしょう?

通っていた小学校は地域の中では活発な方で、よく走らされていて、私には結構しんどかったんです。プールもあったんですけど屋外で落ち葉や虫が浮いているし、頑張りたいけど環境がよくなくて、グラウンドは立派だったのでたくさん運動をさせられて大変でした。和洋はそれと真逆で「めっちゃぴったりじゃん!」と思いました。

-イベントなどにも参加したのですか?

学校見学に来てここがいい!と思った後の行事には全て参加しました。親からは「中学に通うのは自分だから自分で決めなさい」と言われていたので、和洋以外にも色々と見学したんですけど、どこもピンときませんでした。結果的には和洋以外受験をしませんでした。

-そうだったんですね。合格できて良かったですね。
-では入学後のことを聞いていきましょう。中学時代は苦労した時期もありましたね。

はい。中学に入学して間もなく病気を発症し、朝起きられなかったりめまいや立ちくらみがひどくなったりという症状が出始めて、4月は気合いで乗り切ったのですが、疲れもたまってしまって通えない日が増えていってしまいました。
クラブでも小学生の時に参加したクラブ体験会や文化祭での講堂発表を見て、英語部に憧れて入部したのですが、入部してすぐに体力作りとして筋トレもあって、その時は体力も落ちてしまっていたので結果的に1、2回参加しただけでやめてしまいました。

-それは残念でしたね…。その後、どのように過ごしましたか?

本当にひどい時の記憶はほとんどなくて、小さい頃からこういう経験をしたことがなかったので「何でこのタイミングで…」と現状を受け止めきれない日々が続きました。
中3の頃にはだんだんと症状が落ち着いている日も増えてきたのですが、今度は授業を受けても追いつけなくて、今日はこの教科があるから行きたくないな、という状態になってしまいました。

病気はよくなっても今度は精神的な負担が大きくなって腹痛が起こってしまって…。でもその時に担任の先生が「勉強面は克服していかなければいけないね」と声をかけてくれてサポートをしてくれたんです。私が授業に出るのがとびとびになってしまって、わからなくならないようにクラスメイトが授業の進度や授業内容をノートに書いてくれる取り組みを1年間続けてくれました。そのおかげで授業もわかりやすくなりました。そのノートはもし自分がやって!と言われたらとても大変だと思う内容のもので、とても感謝しています。

-たくさんの方に支えられて今があるんですね。
-中学の思い出はどんなものがありますか?

11月に行った修学旅行です。本当ならば5月に行くはずだったのが、新型コロナの影響で11月になったのですが、私にとっては11月になったのが幸運でした。その頃には比較的に学校に行ける日も増えていて、主治医の先生も「行きたいという気持ちがあるなら準備しておくのがいいのではないですか?」と言ってくださいました。
飛行機に乗り遅れるわけにも行かないし、他のクラスメイトと一緒に行動する必要もあったので、朝きちんと起きる習慣もつけていって、だんだんとペースをつかむことができました。実際には旅行中も全て他の人と同じようにできたわけではなかったのですが、行けて良かったです。

-そうでしたか。思い出ができて良かったですね。
-では次に高校に入ってからのことを聞いていきたいと思います。高校に入ってからは良いペースで通えているようですが、いかがですか?

やはり中学校の時のツケがあるので、勉強はまだまだだなと感じています。コロナもあって中学時代の活動が制限されていたので高校生活は誰よりも楽しもうと思って過ごしています。今年度は文化祭実行委員になって、後夜祭に参加する団体の責任者も務めました。高1の生徒と先生方でダンスを踊るという企画で、校長室に一緒にダンスをしてもらうお願いをしに行きました。

-体調が戻って色々な活動ができるようになっているのですね。他にはありますか?

探究の時間に自分で選んだテーマに沿って活動するのですが、私たちのグループはいじめについて考えていて、千代田区と私が住んでいる地域の教育委員会に電話をして直接お話をうかがう機会をいただきました。

-早速アクションに移しているんですね。
-どのようなことがわかりましたか?

今回は今行っている対策やこれまで効果のあった対策、今後行っていきたいことなどを質問してきました。やはりお金に余裕がある地域では対策も色々と行えて、スクールカウンセラーを複数置いていたり、心の教育コーディネーターだったりスクールライフサポーターだったりを配置しているということでした。そのため、いじめが起こっても早めに対応できるのだと思いました。
どこにでもいじめはあって、でもそれに対してすぐに動けるようになっている場合、深刻な状態にならないうちに対応が可能なのだとわかりました。

-なるほど、そういう差が生まれているんですね。

私が住んでいる地域は外国籍の子が多くいるのですが、通訳の方が十分に配置されていなくて現状把握がしにくい状況がありました。小学生の頃はみんな人の気持ちを考えるということが今に比べると少なかったと思いますし、ぐっと我慢するというのものできなかった年頃だったと思います。いじめが悪い意味で身近にあって、そういう中で今もきちんと対応されていないことにショックを受けていました。

-早めに摘み取りにくい環境があるということでしょうか。来年度も研究は続きますね。更に深めていけるよう頑張ってください。
-今後、頑張っていきたいことはありますか?

病気は完治していないし、見た目でわからない分、体調が悪いだけなのに怠けているとか不機嫌だとか思われてしまうので苦労も多いですが、まずは勉強をもっと頑張らなきゃと思います。PBLもまだまだ怖さがあって、クラスの前で発表する時には緊張します。今年一年でスライド作りを頑張ってきたのでもっと上手にできるようになりたいですし、上手にプレゼンできるというのは今後、強みになると思うので、頑張っていきたいです。

-将来の夢は何ですか?

今は経営と栄養に興味があります。ご飯を食べられない時期もあって、そういう時には体力も落ちてしまったので、自分の経験もふまえて色々と話ができるかなと考えています。どちらにしても、何かしら人のためになる仕事に就きたいなと思います。

-まだまだ吸収できることがたくさんありそうですね。視野を広げて卒業後の学びについて考えていってください。
-では最後に後輩と受験生に向けてメッセージをお願いします。

後輩には、失敗を恐れずに色々なことにチャレンジしてほしいです。私は「学校はいっぱい失敗していいところだから」とたくさんの方に言われてきました。「失敗することは恥ずかしい」と思うかも知れないですが、私自身病気のこともあって、失敗や空振りをした回数は人より多いと思います。でもそこから得られたものもとても大きいと感じています。どん底に落ちても和洋の先生や友だちは助けてくれると思います。やらずに後悔するのはもったいないですし、6年間はあっという間なので。1年1年を大切に過ごしてください。
受験生には、毎日忙しいと思うけど、焦らず目の前にある手に届くことにコツコツ取り組むことが大切だと伝えたいです。「継続は力なり」と言いますし、一気にやるのではなく、コツコツやる方が崩れにくいと思います。
後は本をたくさん読んでほしいです。そして、心の支えになるように文章や言葉を見つけられると自分を助けてくれます。
最後に、自分を追い込まずに息抜きしながら、小学生の今しかできないことを思いっきり楽しんでください。和洋に入ったら今私が所属している放送部に入ってね!と伝えたいです。

-Yさんが経験してきたことに基づいた素敵なメッセージですね。これからも体に気をつけつつ、精一杯高校生活を楽しんでください。ありがとうございました!

【X先生からYさんについてのコメント】
礼儀正しく真面目で、落ち着いた判断力を持っており、すべてのことに全力投球する努力家です。学校行事や部活をはじめとして積極的に色々なことにチャレンジし始め、この1年でかなり視野が広がったようです。学習面でも高校生になってから意識が変わり、自分に合った勉強方法を模索しながら努力を重ね、成果も出始めています。

Vol.57 中2 Kさん
Vol.55 高2 Mさん