和洋九段女子中学校高等学校

Stories Vol.71

更新情報

2024/5/31 更新しました。

Vol.71 高3 Rさん

-インタビューを通して和洋生の成長をお伝えするStories。今回は第71回です。高3のRさんからお話を伺っていきたいと思います。よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

-では早速インタビューを始めましょう。Rさんは小さい頃どんな子でしたか?

活発で元気な子でした。どこでも走り回っていて、小学校の時は先生から叱られることも多かったです。膝を擦りむいたり手を骨折したりおでこに傷ができたり…。結構怪我をしていました。

-駆け回っては転んでるイメージですかね。何かスポーツをしていましたか?

3歳から15歳までクラシックバレエをしていて、小学校での記憶よりバレエ教室で過ごした記憶の方が多くて、すごく忙しかったです。

-練習はどれくらいあったんですか?

週に6日は行っていました。小学校の時は学校から帰ってきて4時から7時まで、中学生になると10時まで練習があって、ハードスケジュールでした。

-かなり本格的に習っていたんですね。

コンクールが年に3回あるのに加えて発表会もあって、それ以外に文化祭というのもあって。全部に出るとなると休む期間がなかったです。

-習い始めたきっかけは何だったんですか?

母が私に姿勢良くなってほしいというのがあったようです。あと、母も幼い頃にバレエを習っていたんですけど早くにやめてしまって私には続けてほしいということで勧めてくれました。体験に行ったらやりたいなと思ったのがきっかけです。

-10年以上続けていたわけですが、長く続けられたのは何か理由はありますか?

すごくハードスケジュールだったんですけど、しんどいとか辞めたいとか思ったことはなくて、発表会に向けて頑張った結果、それで得られるものが多かったからだと思います。自分が練習につぎ込んできた時間の成果を見ている人に見せられるのがすごく嬉しいし、これまでの努力が認められたような気がして達成感に繋がっていたのだと思います。
自分の努力してきたことを見ているみんなに感じてもらえる時間というか、それが嬉しいです。

-なるほど。表現することでそこまでの努力の過程を見ている人に実感してもらえるのが嬉しいというのは面白いですね。
-他に小学校の頃の思い出はありますか?

小6の運動会で応援団に立候補して入って、どうやったら去年の6年生よりインパクトのある良い応援ができるかというのを皆で考えたんですけど、その時間が楽しかったです。
覚えているのが当日すごく曇っていたことです。その曇りを晴れにするくらい大きい声を出して応援しよう!という思いで頑張りました。

-それをきっかけに晴れたということは?

なかったです(笑)

-その奇跡はなかったんですね。積極的で元気な感じが伝わってきますね。
-他には何かありますか?

中学受験が終わって卒業間近のことなんですけど、それまでバレエと塾に通い続けていたのでそれから解き放たれて公園で鬼ごっこしたのが本当に楽しくて…。こんな楽しいことをみんなは毎日していたんだということに気づきました。その時の楽しかった思い出が一番心に残っています。

-小学校卒業間近の楽しい思い出ですね。
-では受験の話が出てきたのでそれについて聞いていきましょう。
-Rさんが中学受験をすることになったのはどういう経緯があったんですか?

クラシックバレエをずっと続けていくことを考えた時に、親と相談して中高一貫に通うのが良いのではということで受験することになりました。4歳上に和洋九段に通っている知り合いがいて、その話を聞いて行きたいなという気持ちが大きくなったというのもあります。

-和洋九段に来たことはありましたか?

色々と参加していました。受験前は入試対策勉強会にも参加していましたし、文化祭の見学もして、さっき話した知り合いの方が英語で発表しているのを見てすごいなと思ったのも覚えています。

-かなり来てくれていたのですね。受験は大変だったですか?

はい。私は受験勉強を始めたのが6年生になってからで、とてもスタートが遅かった分とても大変でした。私は個別指導の塾に通っていてその先生がとても良くしてくれて夏休みは長時間塾にこもって勉強していました。今までも含めて、一番勉強した期間だと思います。

-その時、バレエはお休みしていたんですか?

いえ、休んだのは受験の直前1ヶ月だけでした。塾もバレエ教室の近くにして、なんとか両立していました。

-どちらも大変そうですが、なぜ両立できたのでしょう?

よくわからないんですけど、勉強が楽しいなって思えた時があって、私はバレエの世界しか知らなかった分、塾の方がいいって思っていた時期もあったので、塾に行って勉強するのはそんな苦じゃなかったんです。勉強で疲れてもその後、バレエに行って発散するみたいになっていたので、うまくいきました。

-そういう受験のやり方もありなのかもしれませんね。中学受験があるから全てをいったん諦めて、という話をよく聞きますけど、自分の好きなものをしっかり継続しつつ、受験勉強もこなしていければより充実するということがあるかもしれません。Rさんが元々持っているパワーがあったから乗り越えられたのでしょうか。
-では次に和洋九段に入学した後のことを聞いていこうと思います。中学に入ってからの思い出はどんなものがありますか?

中学1年の時は初めてのことが多くて、色々なことに挑戦する年だったなと思います。私がこの学校に入って一番びっくりしたのはPBL授業ですね。
私はそれまで他の人からこうするんだよと教えてもらったことはインプットできたんですけど、小学校で話し合いを行うことも頻繁にはなかったので、自分で意見を考えるという部分が弱くて最初の頃は大変でした。よくわからないこと書いてしまうこともあって失敗が多かったんですけど、だんだんと慣れていって、今考えるとやっていて良かったなと思うことのうちの一つです。
今では英語のPBLも行えるようになりました。自分の考えを作って発表すること自体も簡単なことではないんですけど、頭の中にあることを整理しながらまとめてそれを英語にして、どういうスライドにするとより人に伝わるかを考えて…。そういう一連の流れをすらっとできるようになったのが6年間の成長だなと思います。

-英語のPBLって私もあまり見る機会がないんですけど、どんなことを考えるんですか?

先生からのテーマをもらってこれについて賛成か反対かを述べていくこともありますし、先生が提示したテーマについてそれぞれトピックを見つけてきてそれについて詳しく調べて最終的に発表するということもあります。最近は国際貿易について考えました。

-中学校で行ったことで思い出に残っていることはありますか?

中1の時にSDGsのカードゲームをしたのが楽しかったです。中学生になりたての頃には少し難しいと感じたSDGsのことがゲームを通して楽しく学ぶことができましたし、高校になって取り組んできた総合探究の時にも考えるベースになっていたと思います。
探究で私たちのグループはLGBTQ+のことを考えたんですけど、後輩にワークショップをするというゴールに向けてスライドにまとめたり、考えたことを英語にして発表したりしています。中1の頃からSDGsを学んでいなかったらプラスチックゴミの問題も貧困の問題も今のように考えられなかったんじゃないかなと思います。
私たちが中1の頃に授業で行っていたSDGsが最近テレビでもたくさん取り上げられるようになって、色々な人に伝わってるんだなっていうのが感じられて嬉しいです。自分たちが取り上げていることって多分私たちの手だけで解決できるような問題ではないので、まずは学生目線で考えてみようと思ってアンケートも取りながら、生徒間のコミュニケーションの中で今の私たちが気をつけられることって何だろう?っていうのを考えられるようになりました。

-LGBTQ+自体はSDGsのゴールには含まれていませんけど、SDGsという枠組みにとらわれずに自分の興味関心に従って考え続けているところに広がりを感じますね。ありがとうございます。
-中学に入ってからもバレエは続けていたんですよね。中学校生活との両立はいかがでしたか?

学校が終わったらすぐにバレエに行っていました。やっぱり勉強と習い事の両立が難しいなって気づいてきた時期でした。
私は勉強もしっかりやりたかったので定期考査の一週間前から休みたかったんですけど、バレエの先生は厳しい方だったので「一週間前に休むのを当たり前だと思わないで」と言われることもあって、すごく悩みました。それでもやらなきゃならないので、勉強面ではすごい大変でしたね。テストの直前に発表会があったりするとそこまではバレエに集中する必要があって、その時には点数がすごく落ちてしまいました。バレエだけに集中するわけにもいかないし、頑張らないといけないなと思った時期でした。

-バレエは15歳まで続けていたとのことですが、やめようと考えたのには何か思うところがあったのでしょうか。

ずっとバレエ中心の生活をしてきて、すごく得られるものも多かったんですけど、その分やめなきゃいけないことも多くて…。私は他のみんなより遊ぶ時間も少なかったと思いますし、やりたいなと思うこともできなかったり…。
中学ではダンス部に入りたかったんですけど、スケジュール的に両立できるかってなると多分無理だというのがわかっていたので諦めていました。
でもやっぱりダンス部に入りたいなと思ったのと、高校では特に成績も重要になってくるので、真剣に勉強に取り組みたいなという二つの理由からバレエをやめることにしました。

-そうなんですか。大きな決断だったでしょうね。
-高校に入ってからの生活はいかがでしたか?

私は中3まで本科にいたんですけど高校からグローバルコースに入りました。クラスのメンバーも変わって、部活にも入って。色々な変化がありました。

-どんなことが中学の時と変わりましたか?

グローバルの子たちは先生からの質問にも自分の意見をしっかり出せる子が多いし、スライドを作るのがすごく上手な子も多くて刺激をもらっています。
ダンス部はあいさつなどしっかりする必要があるので、先輩からだけでなく後輩からも教えられたことがたくさんありますし、同輩にはわからないことをたくさん教えてもらいました。とても楽しく活動できています。

-何が一番楽しいですか?

新歓、文化祭、送別会などのイベントで輝けるようになるまでの練習はやっぱり大変だけど、私は練習もワクワクしながら行っています。舞台に上がった時にこういうふうに見られているんだろうな、だからこうしてみよう、こういうふうに合わせようと想像しながら練習していて。考えながら踊っている時が一番ワクワクします。みんなに見てもらえる時間もすごく好きなので、ダンス部に入って良かったなと思います。

-なるほど。他に高校になってから変わったことはありましたか?

色々ありますけど、学習面だと勉強の仕方が変わりました。高校生になって勉強は大切、ということを自覚できたのが大きいです。何かを覚える時も指で押さえながら見て口に出すだけだったんですけど、手で書くようにしてからすごく伸びました。あとは、自分は夜型だなということに気づきました。早めに勉強して早めに寝るというのがよい!というのが普通だと思うけど、自分に合ったやり方が一番効率がよいので、それを見つけられて良かったです。

-「これが当たり前」と思いすぎないのも大切ですね。
-では、今後の話をしようと思いますが、あと数週間で体育祭ですね。扇の舞に向けて準備はいかがでしょうか。

私たちは先輩たちの扇の舞を5年見てきたからこそ、自分たちもよいものを作らなければいけないという良いプレッシャーと、あとは最後の作品だから、みんなで一緒に踊れるのがすごく楽しみです。私は扇制作委員なんですけど、練習する過程では難しさもすごく感じています。もちろん振りを作ったりフォーメーションを考えたりするのも難しいんですけど、扇委員で考えている理想の形とみんなの考えている理想の形をマッチさせるのがすごく大事だと考えていて、ダンスの得意不得意もある中で、方向性を決めて、目線を合わせてどれだけ引っ張っていけるかが一番難しいところだなと思います。
最近は自主練習をしている子もいるという話を聞きますし、皆が真剣に取り組んでいることがとても嬉しいです。高3全員で踊れる最後の作品になるので、最後まで頑張りたいです。

-全員に伝える上で心がけていることはどんなことですか?

伝え方のスピードには気をつけています。クラブとは違うので、きちんとみんなに伝わったかどうか確認してから次のステップに進むようにしますし、映像を撮ってそれをみんなに見てもらうことで今はこういう状況だというのを把握してもらって、次の目標を理解して進んでもらうことを心がけています。

-色々と工夫しながら進めているんですね。本番を迎えるにあたって、最終目標はどんなところにあるんですか?

本番では踊っている私たち自身が楽しめると良いと考えています。そのためには練習の過程をしっかり踏む必要がありますが、最後には楽しかった!という思いと共に全員で達成感を味わいたいと思います。

-本番を楽しみにしていますね。ありがとうございます。
-少し広い話になりますが、Rさんが日々を過ごす上で大切にしていることはどんなことですか?

努力は人を裏切らないということです。バレエを続けてきた中で感じたことでもありますが、もちろん結果も大事だけど、その努力する過程がもっと大切で、それが自分の強みにもなっていくのかなと思います。

-努力することの尊さを経験上知っているというのは大きな強みですね。もちろん英語力だとか成績なども大学に入る時に大切になっていますけど、あくまで副次的なものなんですよね。もっと先にある長い人生を考えた時にその人の生きるベースになるのはもっと違うところにあると思います。Rさんのお話を聞いていると、底抜けに明るいキャラクターだったり、上手に他人を巻き込む力、自分も努力をしながら他者に本当に大切だと思うことを伝える行動力などが生きていく中で核になっていくのかなと感じますね。

私自身は人に流されやすくて、影響を受けやすいので「自分を持つ」ってすごく大切なことだなと思います。ただ、ネガティブに考えてしまう部分も「私」なので、そういうところも強みに変えられると良いなと思います。

-全ては捉え方しだいですからね。少なくとも今まで積み上げてきた経験はとても貴重な尊いものだと思うので、そこがベースになると思いますよ。
-では最後に後輩と受験生に向けてメッセージをお願いします。

まず、後輩に向けては、高3になって改めて実感しているんですけど、勉強を頑張ることが大切だということですね。私自身後悔することも多くて、提出物や小テストは「これやってどうなるの?」と思ってしまうこともあると思うけど、小さいことにも全部真剣に取り組んで積み上げていくことが後になって効いてくるというか大切だと身にしみて感じるので、頑張ってほしいです。あとは、学校生活を充実させてほしいです。和洋には行事がたくさんあるけれど、それだけでなくて普段の学校生活でも楽しめることがいっぱいあるから、勉強とそれ以外の楽しみの切り替えをしっかりして毎日を充実したものにしてほしいです。

-楽しむ秘訣は何かありますか?

嫌だなと思うことがあったとしても、それを学生だから楽しめることっていうふうに捉えて面白くするっていうのが秘訣です。校則が嫌だなと思う人もいると思います。でも私はそれも友だちと話す中で笑いに変えてしまっています。

-なるほど、嫌なことをそこで止めずにポジティブに受け止めなおしてしまうんですね。それは私も見習いたいです。

受験生に向けては、初めての受験という人も多いでしょうし、今まで自分が勉強してきたことに価値があるので、それを信じて入試に臨むのがよいと思います。自信を持ってほしいです。あとは息抜きをきちんとして、切り替えをしっかりしながら勉強に集中できるようにしてほしいです。

-「楽しみながら努力する大切さ」というのが伝わってくるメッセージですね。こちらも色々と学ばせてもらいました。扇の舞披露に向けて、そして卒業後の進路実現に向けこれからも頑張ってください。ありがとうございました。

【X先生からRさんについてのコメント】
明るく朗らかで優しく、良い雰囲気作りができるので皆から信頼されています。
ダンスの身体能力が高く、想像力、発想力、創作力も豊かで、魅力ある作品作りができる生徒です。教え方や盛り上げ方も上手で、学年全体を引っ張っていく力があります。
学習面でもわからないことは積極的に質問するなど努力を惜しまず、アドバンストクラスに入って積極的に取り組んでいます。英語プレゼンの代表に選ばれる機会も多いです。

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