-生徒の成長をインタビュー形式でお伝えするStories。今回は26回目になります。中3のCさんからお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
-では、早速お話をうかがっていきたいと思います。
-はじめに、Cさんはどんな小学生でしたか?
すごく恥ずかしがり屋で、とにかく表に出ず目立たないように過ごしていました。手を挙げるのも間違ったら恥ずかしいと思って嫌でした。
-そうなんですか。
-そのように過ごすようになったきっかけが何かあったんですか?
私は私立の小学校に通っていて「小学校受験」も経験しているので、間違っちゃいけない、というのはその頃からかもしれません。
-そうなんですね。その時期に好きだったことはありましたか?
家で本を読むのが好きでした。小学校低学年の頃から科学の本が好きでよく読んでいました。
-シリーズものだったんですか?
そうです。朝日新聞出版の「○○のサバイバル」というシリーズで、マンガの部分と解説の部分があって、とてものめり込みました。一番好きで何度も読んでいたのは「人体のサバイバル」という本です。
-その本のどんなところが魅力だったんでしょう?
血管の中に流れている赤血球とか白血球とか、色々な種類のものがあるのが不思議でおもしろかったです。
-小学生の頃から血管の中に流れているものに興味を持つというのがおもしろいですね。
-小学校では目立たないようにしていたとのことですが、何か思い出に残っていることはありますか?
卒業文集で自分の生い立ちを書いていくんですけど、かなりの分量で原稿用紙でいうと50枚くらい書きました。
-すごい量ですね。どんなことを書いたか覚えていますか?
小学校の頃はぱっとしたことをしていなかったのでなかなか書くことが少なくて…。小学校に入る前のことを親に聞いてたくさん書きました。
-親御さんも大変でしたね(笑)。
-そのような中で中学受験をしようと考えたのはどのような流れからだったんですか?
小学校からそのまま中学に上がる人は少なくて、多くの人が外部受験をしていたというのと、小学校の時に一緒だった男子とあまり合わなくて受験することを決めました。
-そうなんですね。和洋九段が受験校に入ってきたのはなぜですか?
家からの距離が近い女子校というのを選ぶ中で入ってきました。講堂での学校説明会に参加して、校舎見学もしました。フューチャールームがきれいで、画面が大きく映せるプロジェクターがあってすごいと思いました。
-入学後にフューチャールームで授業はありましたか?
はい。特に印象に残っているのは「オリンピックは開催すべきか」をPBLで行ったのと、体育祭のダンスの映像を大画面で見たことです。
-大画面で見ると迫力がありますよね。
-では次に、入学後のことを聞いていきたいと思います。入学後に変化や成長は感じられますか?
すごく変わりました。女子校ということもあって目線が気になりすぎて生活しづらいということがなくなりました。小学校の頃から知っている子がいないので1からの関係性でスタートからやり直せましたし、私自身、新しい環境なのだから変わらなきゃ、と思って生活してきました。
-なるほど、環境の変化とともに、Cさん自身も変化しようとチャレンジしてきたわけですね。和洋に入って一番の変化は何でしょう?
1、2年生は情報委員の仕事をしていてあまり目立つことはなかったんですけど、中3で代表委員に選ばれました。代表委員長にもなって、生徒総会では議長を務めました。
-代表委員長になったんですか?それもすごい変化ですね。
少し不安だったんですけど、一度くらいは「委員長」という役割をしておいた方が良いかな、と思って立候補しました。
-小学校の時は決して表に出なかったCさんが立候補したんですか?なぜそのように思えたんでしょうか?
中2の最後に成績が悪くて、まずいな、と思っていた時に母親から「成績はともかく、人生の中で一度くらい表に出ておいた方がいいんじゃない?」と言われたんです。小学校とは違うし、中3だし中学のうちに何かしておこう、と思っていました。
-今まで経験がない中で議長を務めてみてどうでしたか?
1学期は講堂に集まらずにZoomで教室に配信したので、目の前に人がいなくてあまり緊張せず、ちょっと言い間違えてしまったくらいで終わりました。でも2学期は講堂で中学生全員の前での議長だったのですごく緊張しましたし、噛みまくりました(笑)。注意事項も説明する前に全部飛んでしまって…。
-そうなんですね。でもその経験はきっと先に繋がっていくと思いますよ。チャレンジあっての失敗ですし、そういう経験を通して「次はこうしよう」と思えるわけですから。
-他に和洋に入って成長したことはありますか?
中1から美術部に入っているんですけど、入学した頃よりは少し絵が上達したかな、と思います。初めて描いた壺の絵は左右対称のものを描いたのに、下手すぎてできあがった絵は非対称になってしまっていました…。
先生からアドバイスをもらって、次からは下書きを大きめに描くことや、影だけでなく陰もしっかりと描くようにしました。最初の絵は「陰」が描けていなかったので…。
-「影」と「陰」というのはどう違うんでしょう?
「影」は光をさえぎることできできる「黒い形」で、さっきの壺で言うと机にできるものです。「陰」は光が当たらなくて黒くなる部分で、壺の反対側の暗くなったところのことです。
-なるほど。そういう部分をきちんと描くことで高度な絵になっていくんですね。
-今まで描いた中で、会心の1枚はどんな絵なんですか?
満足できた絵はまだありません。家では油絵が描けないので、コピックで瞳の絵を描いたりアニメのキャラクターみたいな絵を描いたりしています。
-コピックって何ですか?
マーカーみたいな感じで、色むらなくぬれるペンのことです。コピックを使ってスケッチブックや裏紙にたくさん書いています。
-美術部では「yells」の企画で大きな絵を描いているんですよね。
はい。画家の中島健太先生からご指導いただいて、和洋学園の125周年に向けて絵を描いています。「和洋九段×春夏秋冬」がテーマになっていて、できあがった絵は校内に飾られる予定です。コロナ禍で予定が遅れてしまっているんですけど、来年度125周年を迎えるので、そこに向けて完成できるよう頑張って取り組んでいます。
-すてきな絵ができあがることでしょう。完成を楽しみにしていますね。
-将来的に「こんな絵にチャレンジしてみたい」というものはあるんですか?
犬などの毛が生えている動物に挑戦してみたいです。人はそんなに難しくなくて、動物の毛の持つ「モフモフした感じ」をどう描くかチャレンジしてみたいです。
-確かに難しそうですね。頑張ってチャレンジしてください!
-小さい頃から科学が好きというお話でしたが、それは今も変わらないんですか?
はい。科学好きは小さい頃からずっとです。
小学校の低学年の頃は「早稲田フィールドサイエンス」という教室に通っていました。実際に外に出て活動することが多くて、化石を掘ったり富士山まで行って気圧の変化を缶で実験したり、プラナリアを採取しに行ったりしました。
-プラナリアというのは何ですか?
きれいな川に生息していて岩の後ろにはりついている生き物です。体のどこで切っても再生することができるんです。
(インタビュー中、絵を見せてくれました)
-これはすごいですね…。
-科学の面白さってどんなところにあるんですか?
プラナリアの存在を知ることで驚きを感じられますし、本を読むのと違って体感できるのがとても楽しいです。
-今は別のところに通っているんですよね。
はい。今は地域のカルチャーセンター内にある透明骨格標本教室に通っています。
-これまた珍しい話が出てきましたね。詳しく教えてもらえますか?
魚の骨を染めて標本にするんです。内臓は染まると黒ずんで見えるので、下処理をして取り除いてから染めるんですけど、骨は赤紫色に、柔らかい軟骨の部分は青く染まって、肉厚の魚は黄色っぽく染まります。
(実際にいくつか見せてもらいました)
-色々な種類があるんですね。どんな手順があるんですか?
薬品を使う工程は先生が行うので、私たちは下処理を行います。難易度も色々あって、ワカサギは下処理が簡単なのでレベル1で、今私はレベル8か9です。
-レベルがあるんですか。扱う魚の種類が変わるんですか?
そうです。レベルが上がると魚はクリアで、この間はイカに取り組みました。目や皮だけでなく吸盤の周りの皮も取るので難しかったです。この後はタコにもチャレンジします。
-魚以外もあるんですね。和洋の友人はこのことを知っているんですか?
仲のいい子以外はほとんど知らないと思います。話した友だちには「下処理グロくない?」と言われました(笑)。
-できあがったものを見るととてもきれいですよね。そちらもぜひ見せてあげてください。
-将来の夢も科学の分野ですか?
はい。深海の海洋生物に興味があって、将来は研究者になりたいな、と思っています。地形を調べて海中に施設を作ったり、海洋資源から未来のことを考えることに興味があります。JAMSTECという海洋に関する研究を行う団体があるんですけど、そのようなところで働きたいです。
-きっと日本の未来を背負っていく人材になってくれることでしょう。自分の興味が将来に繋がっていきそうなのがすてきですね。
-では最後に後輩に向けて、そして和洋九段を受験するかもしれない受験生に向けてメッセージをお願いします。
後輩に向けては、適度に休みを取りながら、今やるべきことに手を抜かずに取り組んでほしいと思います。中3くらいになるとだんだん勉強も難しくなってきます。スキマ時間を暗記にあてたり、電車の中でノートを見るなど時間を有効に使っていくのが良いと思います。
受験生に向けては、「ここはいいや」と諦めずに、まんべんなく勉強してもらいたいです。1つわからない分野があると失点に繋がってしまうと思うので、小1から小6まで復習するくらいのつもりで頑張ってください。
あと、在校生、受験生の両方に向けてなんですけど、恥ずかしがらずに意見を言う方がいいと思います。間違えても全然構わないし、恥ずかしいということもありません。積極的に意見を言えるようになってほしいです。
-このようなメッセージを出せるようになったのも大きな成長ですね。
-好きなことを探究していくことが「おもしろさ」に繋がり、Cさんが今頑張れる原動力になっているんですね。私も知らない話がたくさんあってワクワクしました。ありがとうございました!
【X先生からのCさんについてのコメント】
優しく思いやりがあり、責任感のある生徒で、自ら考えて行動できます。
Yellzの企画は共同制作のため、自分のこだわりで進められる個人制作とは違った難しさがありますが、Cさんは、先輩のアイデアをブラッシュアップし、複数の可能性を提案したり、まだ入部したての一年生の作業を監督したり、足りない部分に気付いてサッとフォローに動ける、グループワークで本領発揮する貴重な部員です。
修学旅行のしおりやクラスでのイラストなども描いてくれており、学年やクラスにも貢献度がとても高いです。
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