-インタビューを通じて和洋生1人1人の成長を紐解いていく「Stories」の24回目。今回は先日行われたオンライン文化祭で文化祭実行委員長を務めた高2のMさんにお話をうかがっていきたいと思います。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
-まずはじめに、小学校の頃のことから聞いていきましょうか。Mさんはどのような小学校生活を送っていましたか?
人前に出る機会はとても多くて、生徒会長とか議長とかもやっていたんですけど、結構人に流されやすくて、この頃は自分を持っていなかったと思います。「これやれば?」と言われたことをやっている、そんな感じでした。
-そうなんですね。なぜ人前に出ることが多くなったんですか?
一つ上の学年で仲のよい子がいて、その子に誘われたのがきっかけでした。今思い返すと、責任者のようなまとめる立場はこの頃から好きだったのかなと思いますし、興味があったのだと思います。根の部分でやりたいと思っていたのかもしれません。
-今まで色々な立場でまとめる役割を果たしてきているわけですから、Mさんには人をまとめる適性があったのでしょうね。
-先程流されやすかった、という話がありましたが、どんなところで感じていたんですか?
私は私立の小学校に通っていて、放課後家に帰って友だちと遊びに行って、という経験はしていませんでした。低学年の頃は学童に通っていて、低学年の子と話すことが多かったので、同級生の子と話す内容も、相手がしゃべることに合わせてしまってしっくりいっていなかったのかな、と思います。
-なるほど。自己分析できていますね。
-では次に、中学受験について聞いていこうと思います。
-Mさんが中学受験をしようと思ったきっかけは何だったんですか?
私の通っていた私立の小学校では半分以上が外部の私立を受験していたので、そのまま中学に上がってもあまり友だちがいないなと思って、それなら受験をしようかということになりました。でも、実際に受験しようと決めたのは小6の夏くらいで、かなり遅かったです。
-そうなんですね。和洋九段が受験校に入ってきたのはなぜでしょう?
私は小学校の時から英語が好きで、子どもが通う英会話教室や公文で英語を学んでいました。英語教育に力を入れている学校を中心に考えていく中で和洋九段が目にとまって、授業体験や文化祭に参加してみて「ここに通いたい!」と思うようになりました。公文の先生や親は他の学校も紹介してくれたんですけど、多少家から遠くても、私の中ではずっと和洋一本でした(笑)。
-そこまで熱烈に志望してくださり、ありがとうございます!
-和洋に訪れた時のことで、覚えていることはありますか?
文化祭で先輩から声をかけてもらって「待ってるね!」と言われたのがすごく嬉しかったです。これも和洋に入学しようと思えたきっかけの一つだと思います。あとは体験授業の時に隣に座った子が話しかけてくれて、入学したら同じクラスの隣の席で…。しかもその後4年間同じクラスで、何でも話せる友だちになりました。
-すてきなご縁ですね。これからも大切にしたい関係ですね。
-では、和洋に入学した後のことを聞いていきましょう。Storiesの第2回に登場してくれたHさんが話していた「行動を共にしたMさん」が今回インタビューを受けてくださっているMさんなんですよね。話がかなりかぶってしまうので、Mさんが特に印象に残っていることを中心に伺っていきたいと思います。
はい。Hさんと色々一緒に行動し始める原点は、中1の文化祭の学習発表展の係でHさんが責任者、私が副責任者になったことです。Hさんが「私が責任者やるからMさん副責任者やらない?」と声をかけてもらってやることになりました。その後、Hさんが言ってくれるから、Hさんが一緒だからやってみようかな、という力になったので、私にとってすごく大きい存在です。
-そうなんですね。Hさんのお話をうかがっている時も感じましたけど、お二人は切っても切れない関係なんですね(笑)。
-では、そんな数々の経験を共にしながら過ごしてきた中で、特に印象に残っていることは何ですか?
これもHさんと一緒だったんですけど、中2と中3でキリンスクールチャレンジに参加したことです。中1で行ったユニリーバは先生も一緒でしたし、文化祭に向けてという位置づけでもあったので半分義務感もありました。でも、キリンスクールチャレンジは、紹介してもらったものの個人で出ることを決めたので、初めて自分で行動できたこととしてとても印象深いです。
あらかじめ質問が決まっているわけでもないし、はじめましての人たちと自分の力でどうにかしないといけないので、より緊張しました。Hさんとも別のグループでしたし大変なことも多かったんですけど、緊張しながらも楽しめたので、自分の成長を実感できました。
-この経験からどんな成長を感じられましたか?
私は人見知りするタイプではなかったですけど、やっぱり初めて会った人に自分の意見を伝えるのは勇気のいることで、「言っていいのかな」「間違ってないかな」と思うこともありました。でも、意見を言った時に「そういう考えもあるんだね」と同世代の人から認めてもらえたのがとても嬉しくて、それ以来初めての人と話す時も緊張しなくなりました。自分から話しかけられるようになった分、最近は「フレンドリーだよね」と言われることも多くなりました。
-Mさんからは「オープンマインド」な状態が感じられますね。すばらしいと思います。
-他に思い出はありますか?
中3の文化祭で行った「SDGsすごろく」が思い出に残っています。この時は学習発表展の責任者を務めていて、CM班とか学習展示班に加えてすごろく班がありました。メンバーの振り分けも私が行ったんですけど、外部に別のすごろくを体験しに行ったメンバーを中心に構成して作成が始まり、最後まで残ったのが「Team Ami」のメンバーなんです。
-これも不思議なご縁ですね。その後の活躍は第2回のStoriesをご覧いただくということで(笑)。
-これから大きく広げていこう!というタイミングで新型コロナの問題が起こりましたね。
はい。とても残念でしたし、特に4、5月には心のバランスを崩してしまい、自然に涙がこぼれてきてしまって…とても苦労しました。家に1人でいる時間が長くなって、まともにご飯が食べられない時期もあって、友人がずっと電話を繋いでいてくれて、気持ちをかろうじて安定させることができました。3月の頃はコロナがここまで大変なことになるとは思わず、恐怖感もなかったんですけど、4、5月は死者も増えてきて、三密がダメという話も出てきて、「次は自分がコロナにかかるんじゃないか」という不安がどんどん大きくなっていたんだと思います。
6月になって登校が少しずつ始まっても、初めの頃はかなり不安定で、端から見たら暗かったと思います。
-そんなことがあったんですか。苦労したんですね。
-そういう不安がなくなっていったのはどういう経緯があったんですか?
学校で友だちと色々と話す中で「自分が気にしすぎてたのかな」と思えるくらい友だちがいい意味でコロナを気にしてなかったんです。友だちに自分の思いをただ聞いてもらう時間も大切でしたし、あとはやはり時間が解決してくれたのかな、と思います。家にいる時間が長いとどうしても自分と向き合う時間が多くなって考えこんでしまうことも多くて…。学校が始まってオンライン文化祭の準備で動画作りなどが始まって、忙しくなってだんだんと不安が薄れていきました。
-ここでも仲間の存在が大きかったんですね。
-高1で思い出に残っていることはありますか?
オンライン文化祭が印象に残っています。
高1の研修旅行で訪問する予定だった長野県の飯綱・芋井の皆さんと一緒にオンラインセッションをしました。本来は現地に行かないと会えない人と繋がって配信するという初めてのチャレンジで、「誰に向かって話しているんだろう?」「本当に繋がっている?」などいくつもの戸惑いがある中での配信でした。でも、終わった後に何人もの先生から「よかったよ」「おもしろかった」と声をかけていただき、新しいことにチャレンジした後の達成感を得ることができました。
-私も視聴させていただきましたが、とてもよい空間だったと思います。結局旅行は行けませんでしたけど、代替行事も考えましたよね。
はい。旅行に行けない場合、自分たちで何ができるか考えて計画しました。現地の方に向けてプランを提示する際には、大学生からもアドバイスをいただき、とても刺激になりました。
-この旅行を実施する中でご協力いただいている成城大学の境先生のゼミ生からアドバイスをいただきましたね。オンライン文化祭でも境先生にはご登場いただきました。本当にお世話になっています。
旅行には行けなくなったけど、その分楽しもう!ということで動画を作ったり、現地から送ってもらった食材を使ってオリジナルの料理を考えて作ったり…。どれも楽しかったです。コロナ禍だったので作った作品を食べることはできなかったんですけど、何もかもが初めてのことで、楽しめました。
-もう1年前のことなんですね…。
-では、いよいよ先日行われたオンライン文化祭について伺っていきたいと思います。委員長としてどのような思いで取り組んでいたんですか?
はい。これまで行われてきた対面での文化祭を知らない下級生が多くなっていく中で、今後本来の文化祭が戻ってきた時にしっかりと行えるような形にこだわりました。昨年度はポスターもパンフレットも正式なものはなかったですけど、今年度はそれも行ってもらいましたし、綴りの提出とか、開始報告、終了報告などもしっかり行ってもらえるようにお願いをしました。
何年か後にOGの先輩たちが文化祭を訪れた際、「根っこの部分が変わってしまったな」と思われるのはいやだな、と思って、短い準備期間ではありましたけど、おろそかにしたくないと思っていました。
-実際に行ってみていかがでしたか?
トータルとしては「よかったな」と思います。言いづらいことを言わなければならず心苦しさを感じましたし、日程が変更になって正確な日取りを伝えられずにもどかしさを感じることもあったんですけど、何とか終えることができました。
ただ、準備期間からどんどん私と副委員長2人が忙しくなって抱え込みすぎてしまい、他の文実のメンバーに仕事をお願いすることができなかったのが申し訳なかったですし、心残りです。
-得られたものはありそうですか?
成長を実感できているかというとまだよくわからないです。自分のやりたいことは言葉にしないと伝わらないですし、言葉にしても正確に伝えるのはとても難しいな、というのが実感です。
-時間をかけて対話することが大切ですね。
-文化祭から1週間と経たずに修学旅行もありましたね。帰ってきたのが先週ですからかなりホットな話題ですけど、印象に残ったことをあげていただけますか?
2つあって、一つ目は広島での平和講話です。6月に亡くなった祖母と同い年の方が語り部としてお話しくださいました。祖母からも防空壕に潜った話とかバケツリレーをした話は聞いていたんですけど、戦争についての詳しい話は聞いたことがありませんでした。語り部の方のお話を聞いて、自分の祖母も同じように戦争体験について話してくれたのではないかという思いがこみ上げてきました。
実際に経験されたことを思い出しながら話してくださるので、とてもリアルに感じましたし、想像しながら聞くことができました。修学旅行でないと講話はなかなか聞けないのでとても貴重な体験になりました。
-初日には現地の高校生とディスカッションも行いましたよね。
はい。安田女子高校の皆さんにホテルに来ていただき、平和についてのディスカッションを行いました。とてもフレンドリーですぐに仲よくなれましたし、1時間では時間が足りませんでした。いつもは学校のメンバーで行っているPBLとはちょっと違って、外部の方と交流できる機会があったのはとても貴重でした。
-同世代の高校生として違いを感じた部分はありましたか?
やはり戦争に対する思いが違うな、と感じました。原爆を体験した方と直接繋がっていて小さい頃から色々なことを聞いているのは大きいでしょうし、「戦争はダメ」と言うだけでは伝わりにくくても、「戦争が起きると○○になってしまうからダメ」と実際に体験した悲惨な状態をもとに説明されているのは説得力が違うと思いました。
-なるほど、確かにそうですね。修学旅行の話題はまだまだありそうですが、後半については次回に取っておきましょう。
-では最後に、和洋で数々の経験を経て成長してきたMさんから後輩と受験生に向けてメッセージをお願いします!
まずは後輩に向けて。
自分がやりたい!と思ったことはしっかりとそれができる立場にならないとできないと思います。「やりたい」と思ったことをやれるのが学校だと思うので、どんどんチャレンジしてもらいたいです。将来ダンサーになるのは無理でも、学校でダンス係になることはできます。
やりたいな、と思ったことをやらないまま終わらせるのは後悔に繋がってしまうので、「やりたい」という気持ちを大切にして、諦めずに学校にいるうちしかできない経験をたくさんしてほしいなと思います。特に先生たちは私たちの意見を尊重してくれて、やりたいことを実現するためのアドバイスをしてくれるので、それが「やれるかも」に繋がっていくと思います。
受験生に向けては、「合格できるかな」「落ちるんじゃないかな」と不安になるようなことを考えるのではなく、「和洋に入学したらこんなことをしたいな」とポジティブに考えていくとモチベーションが上がると思います。入学してからのことを自分の中で想像しながら勉強したり、受験したりするのがお勧めです。頑張ってください!
-ポジティブに捉えることで次々と壁を乗り越えてきたMさんならではのアドバイスですね。すてきなお話をたくさんお聞かせくださり、ありがとうございました!
【X先生からのMさんについてのコメント】
Mさんは、仲間も「チャレンジしていこう」という気持ちになれる、そんなリーダーです。挑戦する心、友達に対する思いやり、知識の深さ、立ち止まって振り返る姿勢…。笑顔で仕事をやり通す責任感も持ち合わせています。
ミーティングでは仲間への気遣いもした上で、はっきり自分の意見を言うこともでき、自分と違う意見にも自然な会話で対応し、自分の意見の修正も行えていました。
チャレンジ精神を忘れず、「任せる力」を身につけることで更に飛躍してもらいたいですね。
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